この中で尹は先ず、就任以来178回に及ぶ大統領退陣・弾劾集会が野党主導で開かれ、実際に数十人の政府公職者が弾劾されて国政が麻痺させられた他、野党の不正を調査した監査院長と検事らをも弾劾し、違憲的な特別検察法案を27回も発議して政治扇動攻勢をかけてきたとする。

次に、昨年来の中国人によるドローンを用いたスパイ事件に絡め、現行法には外国人のスパイ行為を処罰する法律がないため、刑法のスパイ罪条項を改正しようとしたがこれを野党が阻んでいると述べる。この改正は前文在寅政権によって国情院の対共捜査権を剥奪され、国家保安法が廃止された事態を修正する試みの一つだった。

予算関連では、金融詐欺事件、社会的弱者対象犯罪、麻薬捜査などの民生侵害事件捜査や対共捜査に使われる、検察と警察の来年度の特別業務経費、特殊活動費の予算が完全にゼロに削減されたとし、薬物、ディープフェイク犯罪対応予算までも大幅に削減されたと述べている。

これらは、野党に向けられる捜査のみならず、薬物捜査、組織暴力団捜査の様な民生事犯捜査まで妨害するもので、大韓民国をスパイ天国、麻薬巣窟、組織暴力団の国にするということではないのか? このような人々こそ国を滅ぼそうとする反国家勢力ではないのか? と国民に呼びかけるのである。

経済面の予算でも、原発関連ではチェコ原発輸出支援予算は90%削減、次世代原発開発予算もほぼゼロ化、基礎科学研究、量子、半導体、バイオなど未来成長力予算も大幅に削減され、東海ガス田のボーリング事業予算も事実上全額削減となった。青年雇用支援、脆弱階層児童の資産形成支援、子供の世話手当予算、革新産業成長ファンド、強小企業育成予算、災害対策予備費やパンデミックに備えるためのワクチン開発と関連R&D予算も削減といった具合である。

斯様に巨大野党の議会独裁と暴挙によって国政が麻痺し、社会秩序が攪乱され、行政と司法の正常な遂行が不可能な状況であり、この事態が如何に深刻であるかを国民に再認識させるべく非常戒厳を布告した、と尹はいうのである。