しかしこれは裏を返せば、「質量0のものだけが光速に到達できる」ことを意味しています。
この場合の質量0のものとは主に「光子(フォトン)」を指します。
光子は質量を持たない粒子です。
質量のあるものは加速するためにエネルギーが必要ですが、質量0の光子は加速するためにエネルギーが必要ありません。
しかし逆に光子は停止することもできません。
アインシュタインの相対性理論によると、質量0のものが光速以外のスピードで移動すると、運動量やエネルギーの関係が崩れ、物理法則が崩壊してしまいます。
つまり、質量のない光子は常に光速でしか移動していられない存在なのです。
止まることができないという点では、むしろ不自由と言えるかもしれませんね。
ここまでを踏まえて、すごく現実的な結論を出すと「質量のある生身の人間はどうあがいても光速では移動できない」ことになります。
ただ、それで終わりではつまらないので、ここでは物理法則を無視できる”魔法の力(=空想)”を使って、人間をどんどん光の速度まで加速させてみましょう。
「光の速さ」は誰が見ても一定、そして時空はゆがむ
では早速、人間を光の速さまで加速させてみましょう!…といった側から問題発生です。
現実的な問題を考えると、人体はあまりに強烈な加速には耐えられないのです。
加速がキツすぎると、体に加わるG(重力加速後)が過度に大きくなり、血液が手足に送られなくなります。
F15のような戦闘機だと9Gがかかる動きもできますが、それ以上になると血液が体に回らずにブラックアウト(失神)してしまいます。
光速への加速となると、戦闘機の比ではありません。
生身の人間をわずか数秒の間に光速まで加速させたら、あっという間にペシャンコになるでしょう。
なのでここでは、どんな加速度からも守ってくれる”魔法の膜”で人体を包み、光の速さまでどんどん加速させてみます。