年金など機関投資家もあまり表面には出さないが、米国直輸入の株主重視経営を支持する。企業が配当金を高め自社株の買い入れ消却を積極化すれば、株価は上昇するから歓迎というわけだ。たとえ、そういった短絡的な経営戦略が企業の長期的な成長の芽を摘んでいっているとしても、運用者たちは目先の運用成績の方が大事とするからだ。
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迷走する迷走するボーイング ピーター ロビソン,茂木作太郎
マグドネル・ダグラスを吸収した
は、ジャック・ウエルチの子分の旧マグドネル・ダグラスの経営陣に支配されて、それまでのものづくりモノづくり優先の企業文化が破壊されて、株主と株価連動で報酬が増える経営者のため、研究開発や従業員、そして安全性が蔑ろにされてきました。その様子が克明に書かれています。
我が国でもジャック・ウエルチはもてはやされましたが、ぼくはずっと否定的でした。このような経営は企業を長期にわたって繁栄させることはできないからです。その流れを汲むマクドナルドの原田泳幸も名経営者と謳われましたが、会社の経営をめちゃくちゃにして去っていきました。
ボ-イングはかつてのようなものづくりの誇りを忘れて、短期の利益のみを追求した結果従業員の質も落ちていきました。また旅客機にしろ。軍用機にしろ中長期の開発をしなくなり、技術的に後退していきました。このためシステムインテグレ-タ-としての能力も落ちて、軍用装備の面で、開発期間が伸びたり、開発費が高騰するようになりました。レイセオンを含めて、大なり小なり、米国の巨大航空防衛産業は同じ病を抱えています。このため国防総省の開発投資は極めて効率が悪くなりました。 また多くの装備を海外企業に頼るようにもなりました。米国大企業はそれらの装備を「インテグレ-タ-」といえば聞こえはいいですが、「口入屋」「手配師」として利益を得ているわけです。