そしてこうした架空のキャラクターとのつながりや仲間意識を感じる能力のことを認知科学では「ソーシャルスナック」つまりスナック感覚で感じられる社会的繋がりと呼ばれています。
ソーシャルスナックによるつながりは、本物の人間同士の交流に取って代わるものではありません。
しかしスナック感覚と言えど社会的つながりの一種であり、人間の心の疲れを癒す力があることが認められています。
そしてこのような現象は子供にも起こり得ます。
子供が何度も同じ物語を見たがる背景には、将来に備えて脳を発達させたいと願う攻めの姿勢に加えて、安らぎを得たいという心理も同時に含まれているのです。
子供は子供で日々の生活に疲れており、幼稚園や小学校では他の子供と比べられて劣等感や嫉妬を抱くことがあります。
そんな疲れ切った子供にとって、慣れ親しんだ物語を体験することは、自分の自尊心を回復しする手段であり、物語を視聴するという決断そのものも、人生のコントロール感を取り戻す手段となり得ます。
もしいまあなたが辛く苦しい状況にいるなら、昔のCMや慣れ親しんだ物語の世界にもう一度触れてみてください。
きっと安らぎが訪れることになるでしょう。
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元論文
Acquiring Complex Communicative Systems: Statistical Learning of Language and Emotion
https://doi.org/10.1111/tops.12612
ライター
川勝康弘: ナゾロジー副編集長。 大学で研究生活を送ること10年と少し。 小説家としての活動履歴あり。 専門は生物学ですが、量子力学・社会学・医学・薬学なども担当します。 日々の記事作成は可能な限り、一次資料たる論文を元にするよう心がけています。 夢は最新科学をまとめて小学生用に本にすること。
編集者
ナゾロジー 編集部