そうしない人間を周りがみると、余裕を持っているという好意的な判断ではなく、サボっているとみなされる場合もあるからです。
結果として、プライベートな時間にたどりつくことろには、もう新しい刺激を求める力も失われてしまいます。
近年の研究では、このような精神的に疲れている生活を送る人々にも、同じ物語を繰り返し見たいという欲求が発生することが報告されています。
何度もみたアニメをまた視聴しても認知負荷がかからず、それどころかその先の展開が自分の予想や希望と一致することになります。
「1度みたアニメなんだから先を知っていてあたりまえだろ」
と思うかもしれませんが、人間の脳はそう簡単なものではありません。
先を知っていることと、目の前の物語がそこに終着することを、脳はかならずしも「=」では結ばないからです。
特に登場人物の感情やストーリーのすったもんだがあって予測不能な展開を続けていた場合、自分が知っている結末に辿り着くことは、脳に「優越感」を植え付けます。
また全てを知っており、自分が予期せぬ展開が発生しない世界に接し続けることは、脳に快適さを与えます。
人間社会は自分の力ではどうにもならない事態に満ち溢れており、自分の力の及ばない無数の出来事に圧倒されてしまいます。
一方で、予期せぬ展開が発生しない世界では、人間は自分の人生のコントロール感を取り戻すことが可能になります。
つまり何度もみた物語を繰り返しみることで、人間はすり減った心を癒したり、人生のコントロール感を取り戻したり、つらい現実から一時的に逃避することが可能になるのです。
さらに繰り返し物語を接することで、物語のキャラクターと本当の友達のようなつながりを持てるようになります。
「気持ち悪い」とは言わないでください。
これは誰もが多かれ少なかれ、もっている能力です。