J1最終節まで史上初の「J1初昇格即初優勝」の可能性を残し、2024シーズンのJ1リーグを大いに盛り上げた町田ゼルビア。結果的に3位に終わったものの来季のACL出場権を得た(ACLエリートかACL2かは、今季の出場Jクラブの結果次第)ことで、黒田剛監督の手腕は素直に評価すべきだろう。
青森山田高校で4度の全国制覇を成し遂げた後、当時J2の町田の監督に就任。前年15位だったチームをいきなり優勝に導き、J1でも旋風を巻き起こした黒田監督。球際の強さを選手に求め、ショートカウンターとロングスローを武器にJ1の猛者たちをバッタバッタと倒していく姿は痛快ですらあった。その一方、勝利だけを追い求め、エンタメ性のかけらもないスタイルに対し、徐々に批判めいた声が上がるようになる。
そしてその声が大きくなる出来事が起きる。6月12日に行われた天皇杯2回戦の筑波大戦(町田GIONスタジアム)で、町田は後半アディショナルタイムに追いつかれると、PK戦に持ち込まれ敗退するというジャイアントキリングを演出してしまう。
問題はその後だ。黒田監督は4人の負傷者を出したことに触れ、筑波大に対し警告を2枚しか出さなかった主審の福島孝一郎氏を批判。返す刀で筑波大イレブンに「非常にマナーが悪い」「タメ口であったり、大人に対する配慮が欠ける」と言い放ち、ついには筑波大の小井土正亮監督に対しても「指導教育もできていない」とブッタ斬ったのだ。
その発言が波紋を広げる中、3日後の6月15日第18節横浜F・マリノス戦(日産スタジアム/3-1)で勝利した後、改めて発言の真意を問われると、「町田は決して悪ではない。我々が正義」と主張。自ら火に油を注ぐ。一方的に〝悪〟のレッテルを貼られた筑波大イレブンのSNSには、町田サポーターからと思われる嫌がらせコメントが溢れ、小井土監督が故意のラフプレーを否定し、謝罪と騒動の収束を願うコメントを発せざるを得なくなる。