ハラッシ氏はこの治療経験を科学の発展に役立てるため、学術誌への発表に踏み切りました。
しかし、自己実験を伴う研究という特性から倫理的な懸念が生じ、掲載を拒否されることもありました。
特に、自己治療が他の患者に誤解や模倣を誘発するリスクが問題視されました。
それでも彼女は「知見を共有する責任」を胸に、最終的に学術誌『Vaccines』に研究を発表しました。
今回のケースは、OVTの可能性と課題を浮き彫りにしました。
腫瘍の縮小と免疫系の活性化を同時に実現できるOVTですが、安全性と有効性の確認には十分に管理された臨床試験が不可欠です。
ハラッシ氏の経験は、科学者としての知識とリソースがあったからこそ可能になったものであり、さらなる研究が今後の発展に必要であることを示しています。
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参考文献
This scientist treated her own cancer with viruses she grew in the lab
https://www.nature.com/articles/d41586-024-03647-0
Is it ever OK for scientists to experiment on themselves?
https://theconversation.com/is-it-ever-ok-for-scientists-to-experiment-on-themselves-243612
元論文
An Unconventional Case Study of Neoadjuvant Oncolytic Virotherapy for Recurrent Breast Cancer
https://doi.org/10.3390/vaccines12090958
ライター
岩崎 浩輝: 大学院では生命科学を専攻。製薬業界で働いていました。 好きなジャンルはライフサイエンス系です。特に、再生医療は夢がありますよね。 趣味は愛犬のトリックのしつけと散歩です。