この他にも「超」のつく富裕層は化石燃料産業への投資を通じて、間接的に高い温室効果ガス排出を促進していたり、自らの利益を守るため、自らの政治的な影響力によって環境規制政策の緩和を推し進めることがあります。
このように上位1%の富裕層たちは、自分たちが過度に贅沢に暮らすために、地球の資源を大きく無駄遣いし、環境のバランスに負担をかけているのです。
フバチェク氏らは、これら超富裕層を含む上位20%の人々が消費行動を持続可能なパターンにシフトすれば、環境への悪影響を25〜53%削減できると結論づけています。
超富裕層は莫大な温室効果ガスの排出によって温暖化に拍車をかけていますが、その煽りを受けるのは結局、貧困層です。
貧困層の人々は自然災害や気候変動の影響を受けやすい場所に住んでおり、例えば、島の沿岸部は海面上昇によって沈みつつあり、低地では洪水が頻発しています。
また干ばつによる食糧不足が発生すると、富裕層は経済力に物を言わせて食料を入手できますが、貧困層は容易に食糧難に陥ります。
こうした不平等を止める対策が是非とも必要になるでしょう。
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参考文献
Can we live on our planet without destroying it?
https://www.rug.nl/fse/news/climate-and-nature/can-we-live-on-our-planet-without-destroying-it
元論文
Keeping the global consumption within the planetary boundaries
https://doi.org/10.1038/s41586-024-08154-w
ライター
大石航樹: 愛媛県生まれ。大学で福岡に移り、大学院ではフランス哲学を学びました。 他に、生物学や歴史学が好きで、本サイトでは主に、動植物や歴史・考古学系の記事を担当しています。 趣味は映画鑑賞で、月に30〜40本観ることも。