そこでフバチェク氏は、温室効果ガスの人為的な排出量を効果的に削減するために、どのような人口が最も温室効果ガスを排出しているのかを地球規模で詳しく突き止めることにしました。
富裕層の1%が大量の温室効果ガスを排出していた
フバチェク氏らは今回、世界168カ国における201のグループを対象とする広範なデータセットを分析し、それぞれの温室効果ガスの排出量を調べました。
その結果、世界人口の最も豊かな1%の富裕層(約5100万人)は、下位50%(約40億人)の貧困層が排出する温室効果ガスの50倍もの量を出していることが判明したのです(下図を参照)。
これは経済面だけでなく、地球資源の消費量においても多大なる貧富の格差が生じていることを指し示しています。
では、なぜ富裕層はこれほど多くの温室効果ガスを排出しているのでしょうか?
それにはいくつもの要因があります。
まず一つ目は富裕層に特有の高消費ライフスタイルです。
上位1%の富裕層は頻繁な航空機の利用や何十台もの高級車の所有、大豪邸の維持に使われるエネルギー量や広大な土地面積など、温室効果ガスを大量に排出するライフスタイルを送っています。
特にプライベートジェットの使用は、一般的な商業航空機よりも一人当たりの排出量が高く、環境への負荷が大きいとされています。
2つ目は贅沢品の消費です。
プライベートジェットもそうですが、他にメガヨットや宇宙旅行なども膨大な量の温室効果ガスを排出します。
先行研究によると、1回の宇宙旅行のために排出される炭素量は、排出量が少ない下位10億人が一生で排出する炭素量を上回ることが報告されているのです(The World #InequalityReport 2022)。