「終わりがない」というイメージで語られがちな無限。
しかし、その「終わりなさ」に多くの種類があるといったら驚くでしょうか?
オーストラリアのウィーン工科大学(TUW)で行われた研究により、これまで知られていなかった全く新しいタイプの無限が発見されました。
誰もが知っているのに、誰も理解していない「無限」の世界で大きな革新が起きようとしています。
今回はまず150年にわたる数学者たちの「無限の種類」を探求した歴史を紹介するとともに、次ページでは研究によって発見された新しい無限の特性について解説したいと思います。
研究内容の詳細は2024年11月18日に『arXiv』にて公開されました。
目次
- 無限には多くの種類が存在する
- 「新しい無限」は既存の数学の常識を覆す
無限には多くの種類が存在する
「無限」と聞くと、あなたは何を思い浮かべるでしょうか?
無限の可能性、無限の力、無限の欲望、無限の資金……
私たちは日々の生活の中で数多く「無限」という言葉を耳にします。
実際、近年の脳科学研究では、無限を現わす「∞」という記号が脳にとって数字の一種と認識されているとする、興味深い結果も報告されています。
しかし数学的な無限は具体的な数ではなく、文字通り果てなく続く存在です。
生まれてから死ぬまでノートに数字を書き連ねても、決して無限に到達することはありません。
そのため多くの人々にとって無限は「不思議だけど考えるだけ無駄」なものになっています。
しかし数学者たちは違いました。
紀元前4世紀ごろのインドの数学者たちは、無限には複数の種類が存在し、それらの間に大小の関係が存在すると考えていました。
つまり「大きな無限」と「小さな無限」というように、無限を種類わけしていたのです。
なぜ彼らがそのような考えに至ったのかは不明です。
紀元前のインドには既に仏教があり、また仏教のように非暴力・非殺生を説くジャイナ教があったことと関連している可能性がありますが……詳細はわかっていません。