大河ドラマ「光る君へ」の最終回が放送されたが、その後日談を、『【光る君へ】道長の子ども12人の「意外な勝ち組」とドラマで描かれなかった「道長の死後」』という記事ですでに紹介した。
結局、勝ち組は二人の娘、道長の死後に亡夫の遺志の代弁者として朝廷で君臨した長女の彰子(一条天皇中宮、第一夫人源倫子の第一子)と、普通の人である源師房と結婚したものの太政大臣にまで出世した夫に愛され、七人の子のうち二人が大臣となり、二人の娘は従兄弟の頼通の子に嫁して摂関家本流の先祖となった尊子(第二夫人源明子の第四子)でないかというのが私の意見だ。
ただ、男たちは、心は優しいが政治力に欠けた頼通をはじめ、もうひとつパッとしない。
それでは、道長の子孫の男たちのなかで、道長のように、気が強く覇気があって、策略を巡らすのも得意な豪腕政治家で、詩歌管絃なども好きな文化人で、しかもけっこう人間としての情愛にあふれた人物というと、玄孫にあたる、白河上皇でなかろうか。
「天下の三不如意」として鴨川の水、双六の賽、山法師(比叡山僧兵)を挙げた、「院政」の創始者である。この二人を繋ぐ関係を、拙著『令和日本史記 – 126代の天皇と日本人の歩み』(ワニブックス)などから解き明かしていきたい。
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大河ドラマ「平清盛」(2012年)のテーマは、白河院という怪物を「物の怪(もののけ)」だと位置づけた上で、その曾孫である後白河院と隠し子ともいわれる平清盛という「物の怪の血を引く者たち同士」が抗争を繰り広げるという筋書きだった。