水野:若手を積極的に招集していて、試合を観ていても色々と新しいことにチャレンジしていたように思います。戦術理解やサッカーへの理解度を上げるよう取り組んでいたので、当時呼ばれていた代表選手たちは、かなり頭を使いながらプレーしていると感じます。代表チームでは、これまでクラブでやってこなかったような指導を受けていたと思うので、選手たちは大変だったかもしれません。
ー本田実質監督が就任する数年前、代表ブームが過熱してスタジアムが超満員になるという現象が起きていたかと思うのですが、当時のブームが起きた理由というのは何だったのですか?
水野:僕がカンボジアに来た当初も代表戦は、5万人収容のオリンピック・スタジアムがほぼ満員になるぐらい入っていました。当時はアイドル的な選手(元藤枝MYFCチャン・ワタナカなど)が数人いて、その人気もあって一大ブームになった感じです。その時はお祭り騒ぎという感じで、今はファンも段々と目が肥えてきて、自分なりのサッカー論を持つようになり、今の代表チームはこれじゃだめだよね、あまり勢いがないよね、というふうに考え始めているのかなと思います。
ーカンボジア代表では、本田体制が終わった後、佐川印刷などでプレー経験があるフェリックス・ダルマス監督が復帰して、今年9月中旬からはU-23代表を率いていた行徳浩二氏が暫定監督として指揮しています。日本人や日本と所縁がある指導者が指揮する時代が続いていますが、現地での日本人指導者に対する評価は?
水野:日本人指導者に対するリスペクトを感じます。日本サッカー協会との繋がりもあって、指導者間の交流もありますし、日本人指導者から学びたいという人が多いです。現地の指導者たちが学ぶ姿勢を持っているので、日本人指導者にとっても、やりやすい環境だと思います。