その結果、3頭とも圧倒的にヘビを見つける方が早いことが確認できました。

これは3頭のサルが「ヘビ=脅威」であることを本能的に理解していることを示し、過去の研究結果とも一致します。

そこで第二の実験では、イモリの写真に「ヘビのウロコ皮」を合成写真として貼り付けて、先と同様の実験を行いました。

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ヘビのウロコ皮を着せたイモリ/ Credit: Nobuyuki Kawai., Scientific Reports(2024)

その結果、シバとウメはヘビと同等の時間でウロコ皮イモリを検出するようになり、ペロに関してはヘビよりも短時間でウロコ皮イモリを見つけられるようになったのです。

これは3頭のサルがヘビを検出する際の脅威マーカーとして「ウロコ皮」に敏感に反応していることを示すものでした。

今までは何の脅威でもなかったはずのイモリが、ヘビ皮を着せただけで急に脅威の存在に変わったと見られます。

この結果はまだヒトでは確認されていませんが、私たちでも同様の反応を示す可能性が十分にあります。

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左:ヘビとイモリの検出時間(ヘビの方が一貫して早い)、右:ヘビとウロコ皮イモリの検出時間(シバとウメはヘビと同等になり、ペロはヘビよりもウロコ皮イモリの検出の方が早くなった)/ Credit: Nobuyuki Kawai., Scientific Reports(2024)

この結果を受けて研究者は、今年10月28日に惜しくも亡くなられた日本漫画界の巨匠・楳図かずお氏の作品に触れて、次のような面白い見解を述べています。

「ホラーマンガの巨匠、楳図かずおさんの代表作の一つに「へび女」という作品があります。

そのなかの「ママがこわい」という話の冒頭で、主人公の少女は入院している母から「病院にはへび女がいる」という話を聞きます。

母親はへび女のことを「からだじゅうウロコがはえていて、口が耳もとまでさけて、すごい顔をしているそうよ」と説明します。