地球上には190カ国以上の国があり、地域まで入れると軽く200を超えますが、当然ながら税制は世界統一ではなく、税率も国や地域ごとにバラバラです。
そんな中で明らかに税率が他より低い国・地域があります。そうした国や地域を一般に「タックスヘイブン(=軽税率国・地域)」と呼びます。
ところが、「タックスヘイブン」という名前は聞くことがあっても、具体的な使い方を聞くことはなかなか無いでしょう。
「金融ハブ型」と「島嶼(とうしょ)型」のタックスヘイブンタックスヘイブンは、大きく「金融ハブ型」と「島嶼(とうしょ)型」の2つに分類できます。
金融ハブ型の代表は、アジアの香港とシンガポール、ヨーロッパのリヒテンシュタインなどです。これらは、狭いとはいえ、ある程度の国土と人口があり、金融、観光、貿易などの産業が盛んです。
これらの国・地域では、一般的に、域内で得た所得に対して課税されますが、その税率は極めて低く設定されています。そして、金融所得(配当などのインカムゲイン、売却益のキャピタルゲイン)には課税されません。しかも、域外で得た所得に対しても課税がありません。
一方、島嶼型の代表は、カリブ海にあるケイマン諸島や英領バージン諸島などのイギリス領です。これらは、国土が極めて狭く、人口も極めて少ないため、産業らしい産業がありません。タックスヘイブンだからこそ成り立つ会計事務所、法律事務所くらいです。また、そもそも税金が存在しない国・地域もあります。
タックスヘイブンに住めば、日本人も低税率のメリットを得られるが、実際に住むのは楽ではない?そして、日本は、海外に移住して〈日本非居住〉になれば、日本の税金を払う義務はほぼ無くなりますから(残念ながら、日本の相続税・贈与税を回避するには、非常に高いハードルがあります)、こうしたタックスヘイブンに移住してしまえば、タックスヘイブンの税制の恩恵を受けることができるのです。