不可解な“空白時間”を持つ子どもたちがいる。両親をはじめとする必死の捜索の中、予期せぬ形で無事発見された子どもたちは、この“空白時間”中の記憶が何もなかったり、まったく別の世界に足を踏み入れた体験を話したりしているのだが――。

 この“空白時間”に彼ら彼女らはいったい何をしていたのか?

■1897年:米メイン州

 最も古いケースの1つでは1897年8月に米メイン州で起きた事件の記録が残されている。

 6歳の女の子、リリアン・カーニーは野山で両親と一緒にブルーベリーを摘んでいたのだが、まさに“蒸発”したかのように行方不明になってしまった。ブルーベリーを摘んでいる間も親子は離れることなくずっと一緒にいたのだが、親の視界から外れた一瞬の隙にリリアンが姿をくらましてしまったのだ。そんなことが起こり得るのか。

 どんなに不可解だとしてもリリアンがいないという事実に変わりはない。両親は地元警察に連絡し、地元ボランティアの人々の協力も得て200人態勢で徹底的な捜索が行われた。

 捜査の甲斐もあり、行方不明になってから46時間後に少し離れた森の中で放心状態のリリアンが発見されたのだ。

 リリアンの容体が落ち着くと、両親は当然ながら今までどこにいたのかと我が子に尋ねた。するとリリアンは太陽の光が燦々と降り注ぐ森の中にいたのだと答えた。しかしここ2日間この一帯の天気は曇りだったのだ。リリアンのそのほかの記憶は曖昧なようで、なぜブルーベリー摘みの間に両親のもとから離れたのかなど、今も謎に包まれたままだ。