最後まで拒否したことについて、同氏は「後悔していない」。NATOは「ウクライナを支援するが、紛争の参加者にはならないと決めていた」。
数万人規模のウクライナ兵が命を落とす一方で、NATOは戦争の外側に位置する体裁を維持し、ウクライナ兵のトレーニングは提供しても加盟国の兵士は派遣せず、兵器を供与してもその利用に制限をかけてきた。
しかし、事態は一歩先に進みだしている。11月に入って、北朝鮮軍兵士約1万人がロシアの空挺部隊や海兵隊の一員として西部クルスク州に派遣され、その一部がウクライナとの戦争に参加していると報道された。
同月20日、ウクライナ軍は英仏の共同開発による長距離巡航ミサイル「ストームシャドー」で初めてロシア領内を攻撃。前日には米国製の長距離ミサイル「ATACMS(アタクムス)」をロシア西部に向けて発射した。
プーチン大統領は28日、これに対抗する措置として弾道ミサイル「オレシュニク」でウクライナの首都キーウの政権中枢部を攻撃すると脅している。
「トランプ待ち」か来年1月、ドナルド・トランプ氏が米大統領として政権の場に戻ってくる。NATOのルッテ事務総長は11月末、フロリダ州パームビーチでトランプ氏と会談した。米国のウクライナ戦争についての関与が話題に上ったと見てよいだろう。
きな臭さが増すばかりの欧州だが、「トランプ待ち」状態に入っているようだ。
※新聞通信調査会発行の「メディア展望」11月号掲載の筆者コラムに補足しました。
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編集部より:この記事は、在英ジャーナリスト小林恭子氏のブログ「英国メディア・ウオッチ」2024年12月2日の記事を転載しました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、「英国メディア・ウオッチ」をご覧ください。