2022年2月ロシアの侵攻をきっかけとして始まったウクライナ戦争は、和解の兆しが見えないまま、2024年が終わろうとしている。
前線に送られるロシアとウクライナの兵士たちの状況、そして北大西洋条約機構(NATO)元事務総長イェンス・ストルテンベルグ氏の見方を紹介してみたい。
ロシア兵、7万人が死亡か英BBCの調べ(9月20日発表)によると、ウクライナでのロシア兵の死者数は7万人を突破した(9月19日時点)。その約20%が開戦後にロシア軍に加わった志願兵である。
死者数の推定はBBCロシア語放送とロシアの独立系サイト「メディアゾナ」が協力し、ロシア政府による公式発表分やソーシャルメディアで公開された情報などから割り出した。
実際の数字は7万人をはるかに超えているようだ。身元が確認できなかった兵士がいる他に、戦死者の名前を公開しない遺族がおり、ロシア占領下のウクライナ東部ドネツク州とルハンスク州における民兵の死は含まれていないからだ。
志願兵の死者(約1万3000人)のうち、4100人が42〜50歳で、250人は60歳以上、最高年齢は71歳だった。
兵士というと若者のイメージがあるが、「60歳」「71歳」と聞いて、どの様な事情で兵役に就いたのかと思いを馳せるのは筆者だけではないだろう。
軍の給与はロシア国内の裕福ではない地域の平均賃金よりも数倍高い。また、ロシアの多くの地域では軍と契約を結んだ人への一時金の額が何度も引き上げられているという。中高年者は安定した賃金を得るために軍に志願兵として入ったのか。
2022年以降、ロシアの受刑者は釈放の見返りとして入隊を奨励されてきた。今では、刑事訴追を受けた人に対し、軍に加われば訴追が凍結されるあるいは完全に取り消される場合もあるという。
ロシア国外からロシア軍に参加した義勇兵で死亡したのは272人で、その多くが中央アジア(ウズベキスタン、タジキスタン、キルギス)出身だった。
ウクライナ兵の犠牲は?兵士を見つけるのに一苦労