自分の頭の中で流れる音楽を意識的に切り替えたり、止めたりできるというのは、情報を効率的に管理できる脳の力を示しています。
一方で、イヤーワームは「注意資源の余剰」という概念とも関連しています。
私たちの脳は、常に何かしらの情報を処理しようとします。
単純な作業や暇な時間があると、その余剰の注意資源がイヤーワームとして表面化するのです。
これは、コンピューターで言えば、余ったメモリを使ってバックグラウンドでプログラムが動いているようなものです。
イヤーワームは、ワーキングメモリを一時的に占拠する情報の断片であり、脳が「空白」を埋めようとする自然な反応とも言えます。
このように、イヤーワームは私たちの認知プロセスや脳の働きと深く結びついた現象であり、その理解は脳科学の重要な一端を担っています。
イヤーワームの意外な利点
イヤーワームは時に煩わしく感じられることもありますが、その現象を上手に活用することで、日常生活や学習に役立てることができます。
たとえば、語学学習において、音楽を使った学習法は効果的です。
キャッチーなメロディーに乗せて新しい単語やフレーズを覚えると、そのメロディーがイヤーワームとして頭の中で繰り返され、自然と記憶に定着します。
これは、音楽が記憶と強く結びついているためであり、イヤーワーム現象がそのプロセスを助けてくれるのです。
単語帳を開いて必死にならなくても、脳内で自然に音楽に乗って英単語が流れているとしたら、その学習効果は飛び抜けたものになるでしょう。
また、イヤーワームは感情や気分にも影響を与えます。
お気に入りの曲が頭の中で流れると、気分が高まり、モチベーションが上がることがあります。
一方で、ネガティブな感情と結びついた曲がイヤーワームになると、気分が落ち込むこともあります。
したがって、自分の気分をコントロールする手段として、意識的にポジティブな音楽を取り入れるのも一つの方法です。