今頭の中で響き続けている音楽は、あなたにとって必要な何かを訴える暗喩の可能性もあるからです。
以上のようにイヤーワームは、脳科学的にも心理学的にも非常に興味深い現象であり、現在も活発に研究が行われています。
そこで今回カリフォルニア大学の研究者たちは、イヤーワームが元の音楽と比べてどれだけ正確であるかを調べる試みに挑みました。
音楽的才能は個人差が大きく、特に絶対音感を持つ人は1万人に1人未満とされています。
では脳内で鳴り響くイヤーワームたちも同じような能力の大きな差があり、正解な音律を奏でられるイヤーワームも1万匹に1匹なのでしょうか?
ほとんどの人々は「隠れた絶対音感」を持っている
イヤーワームは正確な旋律を奏でているのか?
自分では正確だと思っていても、絶対音感のように実は1万人に1人程度しか正確なイヤーワームを実現できていないのではないか?
謎を解明するべく、研究者たちは、参加者たちに、一日中ランダムな間隔で、自分が耳に残っている曲を歌ったりハミングしたりするのを録音してもらいました。
また重要な事実として、参加者の中には絶対音感を持つ者はおらず、多くは非音楽家となっていました。
実際、参加者たちにインタビューを行うと「参加者は曲のメロディーを自信を持って思い出すかもしれないが、キーを正しく把握する能力を疑っている」との回答が得られました。
しかし実験結果は、参加者たちの自信の無さを、いい意味で裏切りました。
録音された音を分析した結果、全体の44.7%が原曲の音程と完全に一致し、68.9%が半音以内の正確だと判明したのです。
興味深いことに、この正確さは様々な曲で観察され、参加者が最近その曲を聴いたか、かなり昔に聞いたかによっては変化しませんでした。