「気づくと何度も同じ音楽が頭の中で繰り返されている…」そんな経験はありませんか?
この現象は「イヤーワーム(耳虫)」と呼ばれます。
実は、このイヤーワームは多くの人々にとって身近な現象であり、研究によれば約90%以上の人が週に一度は経験するとされています。
アメリカのカリフォルニア大学(University of California)で行われた研究では、このイヤーワームを通じてほとんどの人間には「隠れた絶対音感」が備わっている可能性が示されました。
研究者たちは論文の冒頭にて「私たちの結果は、人口の大部分が絶対音感を持っているという新たな証拠を提供します」と述べています。
通常の絶対音感は1万人に1人未満しか持たないと言われていることと比較すると、これは大きな違いです。
今回は前半部分で「頭にこびりつく音楽」イヤーワームについて近年の脳科学研究によって明らかになった興味深い事実を紹介すると共に、後半ではイヤーワーム研究から判明した隠れた絶対音感の存在について解説したいと思います。
(※イヤーワーム研究については十分に知っているという人は、2ページ目以降から読み進めて下さい)
研究内容の詳細は『Attention, Perception, & Psychophysics』にて「無意識の音楽イメージにおける絶対音感(Absolute pitch in involuntary musical imagery)」とのタイトルで公開されています。
目次
- 「頭にこびりつく音楽」を脳科学する
- ほとんどの人々は「隠れた絶対音感」を持っている
「頭にこびりつく音楽」を脳科学する
イヤーワームが発生するきっかけはさまざまです。
最近聞いた曲が頭に残り、繰り返し再生されることもあれば、特定の言葉や場面が過去の音楽記憶を呼び起こすこともあります。
また、感情的な出来事やストレス、単調な作業中など、心に余白が生まれたときにイヤーワームが顔を出すことが多いのです。