加えて個人の音楽的訓練のレベルにも左右されませんでした。

この結果は、私たちの脳内で歌い続けるイヤーワームは正確なキーの情報を保持していることを示しています。

研究者たちはこの能力を通常の絶対音感と区別して「隠れた絶対音感」と表現しています。

(※厳密に言えば、本当の絶対音感は参照することなく音のキーを当てられるのに対して、研究で明らかになった「隠れた絶対音感」は、音感の正確な記憶能力と言えるでしょう)

またそのプロセスの記憶は意識的にではなく、無意識的に行われたものとなります。

さらにこれは長期記憶の形成と言う点では、異常事態でもありました。

長期記憶がなされるときに私たちの脳は情報の要点化と単純化を行うという習性があります。

そのため音楽の記憶が保存される場合には、当然ながらキーのような情報は切り捨てられていてもおかしくはありません。

音楽はキーが違っていても非常に似た音に聞こえるため、脳がその情報を無視して記憶を形成するのは近道にもなります。

しかし結果は、私たちの音楽的な記憶がそのような情報の切り捨てが行われていない可能性を示しています。

研究者たちは、音楽の情報が脳内で蓄積される過程は、通常の長期記憶形成とは異なるユニークな特性を持っているのかもしれないと述べています。

音楽がしばしば専門的な技術とみなされる世界において、この研究は、メロディーを正確に想起し再現する能力が、意識的な努力なしに自然に生じる普遍的な人間の特性であることを示します。

もしかしたら音楽の記憶という意味において、私たちは同じ程度に天才なのかもしれません。

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参考文献

Singing from memory unlocks a surprisingly common musical superpower
https://news.ucsc.edu/2024/08/earworms-music-memory-perfect-pitch.html