締め切りを逃すことに関連するネガティブな側面にもかかわらず、考慮すべきポジティブな側面もあります。

いくつかの研究は、締め切りを逃す人々がより創造的で高品質な仕事を生み出す可能性があることを示唆しています。

追加の時間は、より深い思考、アイデアの探求、最終製品の洗練を可能にします。

イノベーションが重要な環境では、締め切りの厳格な施行が創造性を抑制するかもしれません。

例えば、作家、ライター、デザイナー、研究者のようなクリエイティブな職業では、最良の仕事を生み出すために柔軟性を必要とすることがよくあります。

厳格な締め切りは、時間の制約のために、彼らがあまり革新的でない仕事に妥協することを強いるかもしれません。

最も極端な例は「締切日になるといつも編集者と連絡がつかなくなる売れっ子作家」でしょう。

締切日を守らないことは個人の誠実さや能力を疑わせずにはいられず、出版社はそのような人物に新たな仕事を与えなくなってもおかしくありません。

しかし実際には、売れっ子作家の作品は飛ぶように売れています。

(※最近ネットフリックスで公開され大きな反響をうんだ日本のアニメ映画の監督・脚本を務めた某氏は、締め切り日になると編集者から逃れるように「行方不明」になると言われていました)

この逸話は、締め切りを破ることによる仕事の質の悪化が幻であるという事実の1例となるでしょう。

さらに、締め切りは時に仕事の質を低下させることがあります。

締め切りに間に合わせるために急ぐと、ミスや見落とし、表面的な結果につながる可能性があります。

逆に偽の締め切りの後に本当の締め切りを設定するなど、より柔軟な体制をとることで、より良い結果をもたらすことができます。

このことは、どの締め切りが重要で、どの締め切りがある程度柔軟に対応できるかを見極める必要性を浮き彫りにしています。

次のページでは締め切りを破ってしまった場合の「言い訳」を科学的に評価します。

遅れた言い訳として最適なもの

それはしょうがないと相手が認めてくれればダメージは最小限になるでしょう
それはしょうがないと相手が認めてくれればダメージは最小限になるでしょう / Credit:clip studio . 川勝康弘