■ウォーレンの逮捕
2006年8月28日、ネバダ州ラスベガス市警察は抜き打ちで走行している車を停車させ、車内点検を行なっていた。この抜き打ち点検にウォーレンはひっかかり、逮捕された。逮捕時、ウォーレンは5万ドル(約550万円)の現金、いくつもの携帯電話、変装用のウィッグやサングラスまで所持していた。つまり逃げる気まんまんだったのである。
ウォーレンは公判が始まる前、収容されていた拘置所で首を吊り自殺未遂を図ったが失敗。2007年9月、ユタ州の裁判では2件の強姦を共謀したとして有罪となり禁錮10年から終身刑という、思いがけず軽い判決を受けた。
2008年4月になり、テキサス州エルロラドのFLDS牧場で生活していた信者が「強姦や虐待が日常的に行われている」と警察に通報。未成年の幼な妻を含む468人の子供たちが保護され、130人の女性たちが子供たちと一緒にいるためにセクトを後にした。残った母親たちは「子供たちを違法に引き離し保護した」と訴え、5月に違法だという判決が下るなど、セクトの子供の保護をめぐってのごたごたがしばらく続いた。
そして2008年7月、ウォーレンはテキサスの大陪審からFLDSの男性信者と共に重婚、性的暴行罪で起訴された。2010年6月、未成年との性行為でウォーレンを起訴していたアリゾナ州の裁判官はテキサス州の裁判を優先させるためにと起訴を取り下げ、7月にユタ州の裁判所も「2007年の判決は選抜された陪審員に偏りがあった」として判決を無効にした。
2010年11月、ウォーレンはユタ州からテキサス州へと移動し、重婚と児童への性的暴行罪での裁判を受けることに。ウォーレンは無罪を主張し、自分で自分の弁護もしたが、2011年8月に有罪判決を受け、14歳以下への性的暴行で終身刑、17歳以下への性的暴行で禁錮20年の重い判決を受けた。
裁判所から出てきて警察車両に乗るウォーレンは、待ち構えていた人々から「お前はまだ自分が預言者だと思ってるのか!」と罵声を浴びた。しかし、FLDSセクトに残った信者たちは彼のことを「みんなの罪を背負ってくれた現代のイエス・キリスト」だとますます崇め、ウォーレンも面会に訪れた信者たちに説教を施すなどやりたい放題だった。
ウォーレンが支配していたFLDSセクトだが、敷地のほとんどはテキサス州に没収され、2016年には11人の信者たちがマネーロンダリングなどで起訴されるなどボロボロになっている。2017年9月には結婚を強要した未成年の女性たちに1600万ドル(約17億6000万円)の慰謝料を支払う判決が出たが、果たしてウォーレンに支払い能力があるのかどうかは不明だ。
FLDSのセクトはウォーレンが支配していたセクトだけではない。他にも多くのセクトが存在しており、場所によっては生理が始まった時期や12歳になったら結婚させられる少女もいると伝えられている。隔離された敷地で共同生活を送っている信者たちを脱退させることは容易なことではない。「少女が老人と結婚させられセックスさせられるのはおかしい」「近親婚が増え奇形児も増えている現状をどうにかしなければならない」と、セクトから逃げだした元信者たちが結束し救出活動を進めているが、脱出してもセクトの外での暮らしに慣れることができず、結局セクトに戻る者も少なくないという。
ウォーレンは刑務所に放り込むことができたが、FLDSの問題はあまりにも大き過ぎて、当局は今も頭を悩ませ続けている。
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提供元・TOCANA
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