そしてラットたちはその様子を透明なアクリル板の向こうから眺めることになりました。
ラットたちに自分とは関係性も種も全くつながりのない、マウス間の暴行事件をみさせたわけです。
次に研究者たちは、ラットと2匹のマウス間にあったアクリル板を取り除き、ラットが2匹のマウスにどのように対処するかを観察しました。
すると人間に愛情をたっぷり注がれたラットは、被害者マウスをそっとしておく一方で、加害者マウスのほうにどんどん接近していきました。
すると不快感を感じた加害者マウスはラットに対して攻撃を行い、ラットはそれに応戦する形で加害者マウスに対して前肢での抑え込みを行いました。
またラットのうちの1匹は、アクリル板を取り除いた直後に加害者マウスに対して頻繁に飛び掛かりをみせ、研究者たちはブラシを使ってラットを止めなければなりませんでした。
(※ただしラットたちは加害者マウスのように噛みつきを行わず、多くは手で押さえるなど非致死的・非暴力的な方法での制止を行いました)
一方で、通常の飼育環境で育ったラットにはそのような行動はみられませんでした。
この結果は、愛情たっぷりに育てられたラットは第三者罰のような行動をとることを示しています。
次に研究者たちは、下の図のような実験施設を作りました。
この施設の左側では子マウスが水で溺れており、右側にいるラットは溺れている子マウスに接近することが可能です。
ただし中央部の部屋の床は水が引かれており、上部からは強力な光が照らされていました。
ラットは暗い場所を好み濡れることを嫌う性質があります。