愛されたネズミの物語です。

愛媛大学によって行われた研究により、人間に愛されて育ったラットには人間に似た正義感や善悪判断を思わせる行動がみられること判明しました。

実験ではラットたちに「いじめ」の現場や溺れている子供が提示されたときに、どのような行動をとるかが調べられました。

ラットたちは加害者マウスに接近して行動を制止するような動きを見せたり、溺れている子マウスに接近する行動を示しました。

また愛されて育ったラットに、安楽死させられたラットと麻酔により昏睡しているラットの両方を提示すると、昏睡しているラットの体を心配しているように揺さぶる行動を見せることが明らかになりました。

一方で、人間に愛されず標準的な飼育環境で育ったラットには、このような行動はみられませんでした。

この結果は、愛されて育てられるという経験が種を超えて「正義感や善悪判断」を育む基礎になる得ることを示唆しています。

あたかも人間に愛情たっぷりに育てられることが、人間らしい心をラットたちの心に芽生えさせるかのような研究結果は、非常に興味深いと言えます。

さらに今回の研究では脳科学的な分析も行われており、愛された経験が脳の遺伝子の働き方にどのような変化を与えるかも調べられています。

愛情がラットたちの行動や脳にどのような変化をもたらしたのでしょうか?

研究内容の詳細は『Scientific Reports』にて「ラットモデルにおける第三者罰のような行動(Third-party punishment-like behavior in a rat model)」とのタイトルで公開されています。

目次

  • 人間に愛されて育ったラットは正義感と善悪判断を芽生えさせる
  • 人間の愛は「脳の遺伝子」の働き方を大きく変えていた

人間に愛されて育ったラットは正義感と善悪判断を芽生えさせる

正義のヒーローはしばしば、犯罪の場にあって自分が無関係の第三者であるにもかかわらず、現場に飛び込んで、加害者を倒します。