このような直接関連していない違反行為に第3者が罰する行為は「第三者罰(TPP)」と呼ばれており、古今を問わず人間社会に普遍的に存在する概念となっています。
また近年の研究では、言葉をはなせない乳児であっても、第三者罰のような判断を示すことが報告されており、第三者罰は生得的で進化的に保存された(幅広い種にみられる)ことが示唆されます。
一方で、第三者罰は人間に最も近いはずのチンパンジーではみられないことが知られています。
チンパンジーも罰を下すことはありますが、もっぱら被害側が同種の加害側を罰する「第二者罰」が主流となっています。
そのため現在のところ、第三者罰は「幅広い種にみられるという説」と「人間特有の行動である」とする説は並立して存在していると言えるでしょう。
そこで今回、愛媛大学の研究者たちは、大人の雄ラットを使って、自分と関係ない存在に対する暴力的な行動に、どのように対応するかを調べることにしました。
すると非常に興味深い事実が判明します。
通常の飼育環境で育てられていたラットには第三者を罰したり助けようとする行動はほとんど見られませんでしたが、人間に愛されてペットのように育てられたラットは人間に似た正義感や善悪判断を芽生えさせ、第三者罰や無関係な存在を救出しようとするかのような行いを見せることが明らかになりました。
今回はまず実験全体を4コマで示しつつ、その後に詳細な紹介を行いたいと思います。