むしろ、目をみはったのはインタビューの後半だ。具体的には 26:20 あたりからだが、いちばん気になった箇所を文字起こししておこう。

東野篤子(26:42から) いまXの検索で「東野篤子」って検索していただいたら、2、3のアカウントがずーっと私の中傷をしてるんですね。……Xで「東野篤子」って〔検索を〕やってご覧になられたらですね、結構その、おそらく1人の人が運用していると思われる、「東野篤子はこんなことを言っていた」「東野篤子はここが変だ」みたいな感じでずーっと書いてる人がいるんですけれども、これ開示請求にはならないんですよね。

ただ、やられてる本人としては、1時間に1ぺんこういうのが出てくる状態、誰かが私のことをずーっと中傷を込めて書き込んでいる状態というのは、大変やはり恐ろしいですし、神経も削られます。

強調は引用者

いやいや、あたりまえじゃない?

ウクライナ戦争のように多数の人命がかかっていて、かつ何が正解かわからない話題の「専門家」として毎日TVに出ていたら、「この人、いっつもメディアで見るけど、主張がオカシイ!」みたいに批判する視聴者も出るでしょう。大事なのは、その批判の中身が妥当かどうかじゃないの?

具体的には、「東野篤子はこんなことを言っていた」と書かれたが、そんな発言はしていないという場合は、もちろん中傷にあたる。おそらく、開示請求をすれば通るだろう。逆に「いや実際、あなたはそう発言しましたよね」ということなら、請求は通らないし、また通してはならない。

たとえば2022年9月のノルドストリーム爆破について、東野氏が「犯人はロシアだ」と間違ったことを言っていたと指摘するのは、中傷ではない。指摘が続くのが嫌なら、本人が謝罪・訂正すればよいことで、スラップ訴訟やまして公権力の規制を持ち出すのは、思考が根本的におかしい。

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