一般的に、人は他人が自分のためにコストを払ってくれたと認識するほど気分が良くなるため、より大きなコストである贈り物の方が会話よりも効果的なサポートとなるのです。

さらなる検証として、車の事故に遭い負傷者と賠償責任は無いものの数日間車なしの生活を強いられ、その間友人から電話での会話や贈り物によるサポートを受けたと仮定し、サポート前後の感情とそれらのサポートがどの程度、コストが払われたか、思慮深いか、驚いたか、気を紛らわせたかを参加者に評価させました。

その結果、贈り物が感情の回復に与える過程には2つの経路があると判明しました。

第一に、贈り物は会話より意外性のある感情的サポートであるため、贈り物によるサプライズが受領者の気を問題から逸らし、感情の回復につながる経路です。

第二に、受領者にとって、贈り物の方が会話よりも提供者によるコストが大きいと感じられ、提供者の思いやりがより強く認識されることで、感情の回復が促進される経路です。

つまり、贈り物によりもたらされるサプライズと提供者のコストが複合的に作用して感情的回復を促進していたのです。

贈り物が感情の回復に与える過程には2つの経路があると判明
贈り物が感情の回復に与える過程には2つの経路があると判明 / Credit: Hillary J. D. Wiener et al., Journal of Consumer Psychology(2024)

以上の研究結果から、会話よりも贈り物の方が相手を励ますのに効果的なことがわかりました。

多くの人が選ぶささやかな贈り物としては、花やお菓子、アロマなどリラクゼーショングッズ、ドリンクなどが一般的なようです。

中でも花は見ると脳の扁桃体と呼ばれる領域の活動が抑制され、ストレスによって上昇した血圧やストレスホルモンであるコルチゾール値が低下するという研究が報告されているため、相手が喜びそうな物がすぐに思いつかない、という時にはおすすめです。

もちろん人の心に関する問題なので、状況によって感じ方が変わる可能性は考慮するべきですが、もし身近な人が落ち込んでいたら、何かちょっとした物を贈ってみるのは良い選択になるかもしれません。