その理由は2つあり、1つ目は燃え尽き症候群など簡単に解決できない問題を抱える人に唯一他人が提供できるのは感情的サポートであるためと、2つ目は他の要素を排除して会話と贈り物の効果を比較しやすくするためです。
会話によるサポートは、2人あるいはそれ以上の人が、口頭またはテキストメッセージなど書面で、複数ターンやり取りすることと定義されました。
贈り物によるサポートは、贈り物が食品や花のように、①製品、②比較的手頃な価格、③中程度の品質、④無形のサポートを提供するものであることと定義されました。
この4つの定義により、体験型の贈り物で会話が伴ったり、極端に高価または高品質な物を贈られて会話よりも価値を感じたり、経済的に困っている人に金券を贈るなど贈り物自体が問題解決に役立ってしまうことを防ぎ、会話と贈り物の価値に偏りが生じないようにしました。
また、全ての検証で会話と贈り物が同等の質とコストであると確認するため、研究者らは事前に測定し、参加者の時給に基づき費やした時間を金銭的価値に換算するなどして調整しました。
まず、贈り物と会話ではどちらの方がより効果的に相手の感情を回復させるかについて検証を行いました。
検証では、親しい間柄のペア81組がサポートの提供者あるいは受領者の役割を与えられ、受領者が決めたサポートを受けたい事柄について、贈り物か会話か主催者からランダムで指示されたサポートを行い、サポート前後の感情を7段階で報告しました。
また、この検証とは別に参加者を募り、過去の体験で贈り物と会話のどちらがより感情的回復を感じたかを調査しました。
さらに、同じサポート内容であってもサポートが贈り物として提供されるか会話として提供されるかによる違いを調べるため、嫌な出来事の後、友人が特別に朝食をおごってくれ世間話をした場合(=贈り物)と日頃から交代でおごっているが深い話をした場合(=会話)を想定し、参加者に評価させました。