結果、全ての検証において、サポートの受領者は同等の内容やコストの会話によるサポートを受けた後よりも、贈り物を受け取った後の方が感情の回復が大きくなりました。
具体的には贈り物を受け取った受領者は、感情回復のスコアが平均1.4ポイント(7段階評価)高い結果となっていました。
特に、実際の行動と想起の両方で贈り物の方がより有効であった点や、朝食と会話という同じ内容のサポートでも贈り物として提供された方が効果的になる点は興味深いものです。
では一体なぜ、贈り物で相手の気分を効果的に回復することができるのでしょうか?
贈り物が気分を回復させるメカニズム
続いて、研究者らは贈り物により相手の気分を回復させるメカニズムを調べるための検証を行いました。
検証では、仕事の面接に落ちた後友人に助けを求めるが、すぐに話せない代わりに後刻、おやつのデリバリーを手配してくれるあるいは折り返しの電話で会話するという仮定で、サポート前後の感情と、サポート提供者の動機、提供者のコスト(時間や費用、手間など)や負担(感情的な配慮など)の大きさについて参加者に評価させました。
検証の結果、会話よりも贈り物の方が、受領者のことを中心に考えた動機に基づいており、それがより提供者の払うコストや負担が大きいものであるという受領者の認識につながると示されました。
このような認識の差が生まれる原因は会話の特性にあります。
まず、会話は共同で作り出すため、サポートの提供者も受領者も時間と感情的エネルギーを費やすことになり、贈り物と違って一方的ではありません。
また、会話は受領者の状況改善だけに焦点が当てられているのではなく、サポートを提供する人も、会話の中で幸せを感じたりストレスが軽減するなど利益を得ます。
従って、受領者は相互作用をもたらす会話よりも、受領者にだけに利益をもたらす贈り物の方が、提供者がより受領者に焦点を絞り大きなコストを払ったと感じます。