サケ帽子の流行は約5〜6週間ほど続いた後にパッタリとなくなりました。

80年代当時は調査機器もまだ充実していなかったため、シャチがなぜこのような行動を取ったのか、詳しいことは解明できずじまいでした。

それ以来、サケ帽子ファッションはほぼ目撃例がなく、40年近くもの間、海洋生物学者たちを悩ませ続けています。

ところが2024年の10月末に、アメリカ西海岸沖で再びサケ帽子の流行が見られ始めたのです。

「サケ帽子」の流行が再燃か?

最初にサケ帽子を再発見したのは、地元の写真家であるジム・パソラ(Jim Pasola)氏でした。

同氏は10月26日に自身のFacebook上で、死んだサケを頭に乗せているシャチの写真を公開しています。

それがこちら。

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シャケを頭に乗せているシャチの姿/ Credit: Jim Pasola, facebook(2024)

それから野生シャチの保護団体「Wild Orca」の研究者であるデボラ・ジャイルズ(Deborah Giles)氏も、サウス・プジェット・サウンドで同様の光景を目撃することができました。

「私たちはサケを頭に乗せている1頭のシャチを目にしました。とても興味深い光景で、以前に個人的に同じ行動を目にして以来、久しぶりに見ることができました」とジャイルズ氏は話します。

別々の日時にサケ帽子が見られていることから、同海域に暮らすシャチの群れの間で80年代ファッションが再燃し始めているのかもしれません。

またシャチの寿命を考慮すると、約40年前にサケを帽子にしていたのと同じ個体群によって流行が再び持ち出された可能性もあるといいます。

シャチの寿命は人間と同等であり、平均でも50年から90年ほど生きるとされています。

と考えれば、40年前に10〜20代だったシャチたちが老年期に入って、若かりし頃のファッションを再びやってみたと考えてもおかしくありません。

それから高齢に差しかかったシャチたちが「サケ帽子」のファッションを今の若い世代に伝えているとも考えられます。

なぜ「死んだサケ」を頭に乗っけるの?