その上で為替レートについて「引続き日本側の引締め激化による、米金利から乖離した一方的な円高の進行を警戒する必要性は限定的であり、せいぜい円安が進行した後に”為替介入としての利上げ”が上値を抑えるかどうか、というところではないか」と述べて締めているのだが、今まさにその局面に差し掛かりつつあるのではないか。
12月利上げへの道円安が進むにつれて、自動運転のように12月利上げ織込みは静かに進んだ。
11/21に都内のフランス大使公邸で行われた「パリ・ユーロプラスファイナンシャル・フォーラム2024」の記者会見で植田総裁は12月利上げが「ライブ」であることを公式に確認した。ヘッドラインは「予測不可能」としているが、予測が難しいのは要するにドル円の為替レートである。
「まだ1カ月程度ある。それまでの期間に非常に多くのデータや情報が利用可能となるだろう」とのことだが、今後1ヶ月の間に重要な経済指標がそんなに予定されているわけではない。春闘の方針発表は控えているが、サプライズなヘッドラインが出るとは思われていない。
大きな声では言えないが前日のFOMCが最重要イベントであり、翌日に日銀はその結果を踏まえながら金融政策を決定することになる。
12月か1月かはともかく、この2会合をセットで考えればアンケートベースで8割の確率、実質的にはほぼ確実な利上げが織り込まれていると考えられる。もっとも同じようなアンケートベースでも外為市場の参加者は7割が「12月利上げはない」と考えており、落差が興味深い。実際にどちらの月になるかはその時になってみないと分からないだろうが、どちらでも本質的な違いはないはずだ。
大事なのは、7月に利上げが行われて以来、8月の「ビハインド・ザ・カーブにはなっていない ≒ 柔軟性を失う連続利上げの否定」を経て9月10月はスキップしつつも、「経済・物価の見通しが実現するなら利上げが続く」というコア・メッセージは生きており、それは半年に1回程度の利上げパスがまだ維持されていることを意味することだ。