北朝鮮は全体主義体制として機能しており、第二次世界大戦終結後から3世代にわたって統治している金一族の個人崇拝に大きく影響されている。唯一認められた「宗教」は「主体思想」で、これは国家の創設者である金日成によって作られたマルクス主義的な「自主性」のイデオロギーだ。現在、キリスト教は国家の支配や金一族の優位性に対する重大な脅威とみなされている。そのため、キリスト教徒は秘密裏に活動することを余儀なくされている。北朝鮮におけるキリスト教徒の実際の人数を把握するのは非常に困難だが、推定では人口の約0.38%、つまり約9万8000人と見られる。

<特記事項> 2023年4月・・南平安道のトンアム村で当局が5人のキリスト教徒を宗教活動のため逮捕し、数十冊の聖書を押収した。このキリスト教徒たちは信仰を放棄せず、聖書の出所を明かすことを拒否した。

2023年5月・・聖書を所持していたとして、2歳の子供を含む一家全員が終身刑を宣告された。

2023年5月・・収容所に拘束されていたキリスト教徒が、密かに祈りを捧げていたところを発見され、看守により瀕死の暴行を受けた。この攻撃で重傷を負ったにもかかわらず、この男性は毎日祈りを続け、信仰への献身のために定期的に棍棒で殴られ、蹴られている。

2024年4月・・2023年に中国から北朝鮮に再び送り返された200人以上の帰還者のうち、中国滞在中にキリスト教徒と接触したことが確認された者は、収容所に送られた。聖書を読んだり、キリスト教の教えに触れたりしたとされる帰還者は全員、強制労働刑を宣告された。

2024年5月・・2024年版の米国国際宗教自由委員会(USCIRF)の報告書は、北朝鮮における宗教の自由の状況を受け、北朝鮮を再び「特に懸念される国」(CPC:Country of Particular Concern)として指定するよう、米国国務省に勧告した。