この整列は、ナノスケールからミリメートルのスケールに至るまで観察され、流路周辺で同心円状に配列していることが示されました(下図参照)。
これにより、HVは長距離にわたって規則正しい構造を持っていることが明らかになったのです。
ブルーサイトは、周囲の環境に応じて表面に様々なイオンを吸着します。
特に、炭酸イオンやカルシウムイオンがHV表面に吸着することで、表面の電荷が大きく変化します。
この表面電荷の変動は、ナノ細孔内のイオン輸送に重要な影響を与えます。
実験では、ブルーサイトにK+やCa2+など多種多様なイオンを吸着する能力があることが確認されました。
また、HVの表面の電位差は、吸着するイオンによって±30ミリボルト程度まで変動し、これがイオン輸送のメカニズムに直接関与していることが示されました。
HVのナノ細孔とその表面電荷は、浸透圧エネルギー変換においても重要な役割を果たします。
これは、海水と河川水の塩分濃度差からエネルギーを取り出すシステムに応用できる技術です。
実際に、HV試料を用いてKCl溶液間の濃度勾配から発電を行ったところ、HVは浸透圧エネルギーを電気エネルギーに変換できることが確認されました。
HVのナノ細孔がイオン選択的な輸送を行い、外部のイオン濃度に応じた電流を生成するため、エネルギー変換において効率的な材料となる可能性が示されたのです。
本研究により、HVの複雑なナノ構造とそのエネルギー変換の可能性が明らかになりました。
HVは、規則正しいナノ細孔を持ち、多様なイオンを吸着する性質を持つため、浸透圧エネルギー変換の分野で応用される可能性があります。