また、今回の研究については、カフェインと認知機能の関係に関する過去の研究と一致する結果も得られています。

例えば、Maiaとde Mendonçaの研究では、「ADの患者は過去20年間のカフェイン摂取量が平均して少なかった」ことが報告されています。

同様に、Caoらの研究では、「アルツハイマー病に進行するMCIの患者は、進行しない患者と比べて血液中のカフェイン濃度が低い」傾向が見られています。

さらに、動物を用いた実験では、カフェインが脳の「海馬」という部分にある神経の結びつきを強める効果が確認されています。

この神経の結びつきは、記憶や学習にとって重要です。

つまり、カフェインには脳の神経を柔軟にし、記憶力を維持する働きがあるかもしれません。

このように、カフェイン摂取がADの予防や進行の抑制に役立つ可能性が見えてきた一方で、カフェインが脳に対してどのように働くのか、その仕組みについては、さらに研究が求められています。

ここで、カフェインをどのように摂取するかについての注意事項です。

例えば、遅い時間にカフェインを摂取すると睡眠に影響を与える可能性があり、睡眠も長期的な神経機能に影響を与えるようです。

チョコレートやエナジードリンクを過度に摂取すると糖分の過剰摂取につながり、逆に認知機能に悪影響を及ぼす可能性があります。

現在、カフェインの効用に関する研究が多いことを踏まえると、朝のエスプレッソ、昼のカフェラテ、会議の合間のコーヒー等を積極的に取り入れる価値は大いにありそうです。

因みに、全日本コーヒー協会はコーヒーの適量として1日3杯を推奨しています。

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アミロイドβの蓄積状況 / Credit : 新潟大学脳研究所公式Website

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参考文献

Drinking Caffeine May Reduce Alzheimer’s Clumps in The Brain, Study Finds
https://www.sciencealert.com/drinking-caffeine-may-reduce-alzheimers-clumps-in-the-brain-study-finds