また、紅茶一杯分は約30 mg、チョコレートはカカオの含有量によって約14~42 mgのカフェインが含まれています。
したがって、この調査の基準量は、ドリップコーヒー約2杯分に相当することになります。
この研究では、参加者の脳と血液から採取したサンプルを用いて、脳内の異常タンパク質である「アミロイドβ」のレベルを測定しました。
これらはADの進行に関わるとされる物質であり、血液や脳脊髄液(CSF)中での量を調べることで、カフェインの摂取がこれらの物質の蓄積に与える影響を探っています。
採取されたサンプルは、特別な保管チューブに分けられ、冷凍保存されました。
これにより、サンプルが劣化せず、信頼性の高いデータが得られます。
この調査に基づき、日常的なカフェイン摂取と異常タンパク質の蓄積との関連性が明らかになるかどうかを評価します。
カフェイン摂取の効果は1日コーヒ―2杯以上?
この研究では、ADやMCIに対するカフェイン摂取量の影響がどう出るかを統計的に調べました。
研究者たちは、多変量のデータの特徴を要約する方法である、多変量解析を使って結果を分析し、特にカフェイン摂取量が認知状態とどう関わるかを探ろうとしています。
263人の参加者は、「MCIで認知症のリスクが高くないnaMCIの患者」、「認知症に進行するリスクがあるaMCIの患者」、そして「既にADと診断された患者」の3つのグループに分けられました。
それぞれのデータを比較し、MCIやADとの関連が見られる要因を調査しました。
そして今回の研究では、カフェインの摂取量を「低摂取(216mg/日以下)」と「高摂取(216mg/日超)」に分けて検証しています。
この基準値の216mgは、1日のドリップコーヒー約2杯分のカフェインに相当します。
摂取量が少ない人は、記憶障害のリスクが高くなる傾向が見られました。
具体的には、naMCIの患者のうちカフェインの低摂取者は、認知症の初期段階であるaMCIへ進行するリスクが有意に高かったのです。