これをみると、①銀行内部にないもの、②人員が揃っていた時はやっていたものに分かれる。①については新しい人材が必要になる。しかし銀行は保守的な職場で、これらの新人材の受け入れが難しい。②については、昔はやっていたが、人員削減の過程で失われたのである。
現在の地銀はなにをするのも人材不足の問題を抱えている。量的にも質的にも。
注2)R.ヒルファディング(R. Hilferding)はウィーン生まれ(1877年)の医師で、当時(1920年代)からドイツ社会民主党のイデオローグとして頭角をあらわす。ワイマール共和国の大蔵大臣を二度経験する。ナチスの迫害を受け占領下のパリで囚われ収容所で死んだ(1941年)。彼の主著、『Das Finanzkapital』(1910年。岡崎次郎訳『金融資本論』(改訂版、岩波書店、1982年))は古典の名著である。
注3)この点に関連して『信金中金月報』に興味深い論文が発表されている。著者は浅井義裕氏(「金融機関から役員を受け入れている中小企業とは?」、『信金中金月報』、信金中央金庫、第23巻 第11号(通巻625号)、2024年)。分析の結果は三つだが、特に興味を引いたのは「金融機関との関係が密接なほど(取引期間が長いほど)役員・従業員を受け入れる傾向がある」という部分だ。この結論を得るためにサンプルを226探っているが、それらの金融機関との取引年数の平均はなんと37年である。まさに中小企業は世代を重ねて金融機関とつきあっている。