見どころ5. シントラの国立宮殿 王が愛したアズレージョ
リスボン郊外にあるシントラは、王の居城や貴族の別荘が点在する歴史的な保養地。リスボンのロシオ駅から電車で40~50分ほどで行くことができ、観光客の人気を集めています。
一番人気の施設は色鮮やかなペーナ宮殿ですが、アズレージョが見事な場所としておすすめしたいのは、何と言っても「国立宮殿(王宮)」です!
もともとはイベリア半島を支配していたムーア人(イスラム教徒)の住居だったものを、13世紀末にディニス王が居城としたのがこの宮殿です。15世紀初めにジョアン1世が増改築を行ない、王宮の基礎を築きました。
シンボルとなっている2本の巨大な円錐形の煙突は、この時に作られたものです。16世紀初頭には、マヌエル1世によって新たな建築と装飾が加えられ、この時に壮麗なアズレージョが導入されました。このアズレージョが圧倒的な存在感を放っています。
宮殿に入るとまず目に飛び込んでくるのは、マヌエル1世がセビーリャに特注させた多色使いのタイルの壁です。幾何学模様や花模様、植物のつるなどが描かれたタイルは、立体感があり、豊かな色彩に富んだもの。
アラビア風の雰囲気が漂っており、アズレージョがイスラム文化の影響を受けたものであることを実感できます。「カササギの間」や「アラブの間」、王の寝室や中庭など、至る所でエキゾチックな装飾が見られますよ。
華やかさに目を奪われるのは「紋章の間」。16世紀に作られた八角形のドーム天井には、ポルトガルの貴族たちの紋章が描かれており、頂点の部分には王家の紋章があります。金で彩られた天井がまぶしい!
正方形の部屋の壁は、18世紀のアズレージョで覆われています。白地に青い線と濃淡で、狩猟の場面や屋外で過ごす貴族たちが描かれており、最高級のタペストリーのような優雅さと迫力。
繊細な青色のアズレージョと天井の金色がお互いを引き立てており、吸い込まれるような美しさです。こちらの壁の前で記念撮影すると、ポルトガルの貴族になったような気分を味わえますよ。筆者にとって、最も印象に残ったアズレージョの1つです。
シントラの国立宮殿(Palácio Nacional de Sintra)
- 住所: Largo Rainha Dona Amélia, 2710-616 Sintra
- 営業時間:9:30~18:30
- 休日:1/1、聖日曜日、5/1、12/25
- 料金:13ユーロ
- 公式サイト:シントラの国立宮殿
まとめ
ポルトガルを華麗に彩るアズレージョは見応え抜群です。以下のことを心に留めながら、リスボンとその近郊のアズレージョを堪能してくださいね。
- 15世紀にムーア人が伝えた色柄タイルが起源となったアズレージョは、その後ポルトガルで独自の変化をしながら発展していきます
- 市中には外壁をアズレージョで彩られた建物が多数並んでいます。石畳の道が多いので、建築物めぐりにはスニーカーの着用がおすすめです。車やスリにもご注意
- バイロ・アルト地区のサン・ロケ教会には「ダイヤモンド・ポイント」と呼ばれる16世紀の貴重なアズレージョがあります
- ベレン地区のジェロニモス修道院では食堂に注目。青と黄色と小豆色で聖書の場面を描いた18世紀のアズレージョがあります
- アルファマ地区の装飾芸術美術館は、17世紀の邸宅を利用したもの。貴族の屋敷を彩るアズレージョがどんなものだったかがわかります
- 国立アズレージョ美術館は、マードレ・デ・デウス修道院を改装して作られたアズレージョの殿堂。15世紀から現代までの珠玉のアズレージョを展示しています
- シントラの国立宮殿は、ポルトガルの王たちが増築を重ねた王宮。マヌエル1世が16世紀初頭に導入したイスラム風の絵タイルや、紋章の間を彩る18世紀のアズレージョが特に見事です
それでは、宝石のようなアズレージョに魅了される素敵な旅を!
文・写真・朝茶/提供元・たびこふれ
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