中国と事務レベルで協議し、一定の認識を共有するに至った。日本側から処理水について追加的なモニタリングを行う用意がある旨、伝達し、中国側は輸入規制措置の調整に着手し、基準に合致した日本産水産物の輸入を着実に回復させることとなった。
だが同じ日に、『環球時報』はこの件に関する2本の記事を掲載した。14時過ぎの1本目の見出しは「中国と日本、福島原発汚染水の海洋放出で合意(agreement on ocean discharge of Fukushima nuclear-contaminated water)」、17時過ぎの2本目のそれは「中国と日本、福島原発汚染水放出の長期国際監視で合意(agree on long-term international monitoring of Fukushima ・・)」である。
1本目は中国外務省発表の記事で、合意した4項目が記されている。2本目は同紙スタッフの記事だ。が、両方の見出しには『産経』にあるような「日本産水産物の輸入再開」の文言はない。
記事を読んでも、「中国はIAEAの枠組み内での長期国際監視に実質的に参加し、参加国による独立したサンプリングとその他のモニタリング活動(independent sampling and other monitoring activities by participating countries)が実施された後、科学的証拠に基づいて関連措置の調整を開始し、規制要件と基準を満たす日本産水産物の輸入を段階的に再開する」とあるに過ぎない。
毛寧外務省報道官も、合意に達したからといって中国が直ちに日本産水産物の輸入を再開する訳ではないと強調、「我々は日本と技術協議を行い、中国の要求に完全に合致するという前提で、基準を満たす日本産水産物の輸入を段階的に回復する。協議の結果と政策調整は速やかに公表される」と述べている。
19日の『産経』の<独自>記事には、「IAEAの枠組みの下、中国を含む第三国が参加できる監視体制」とあるが、『環球時報』は「参加国による独立したサンプリングとその他の監視活動」と「independent sampling」と書いている。「IAEAの枠組みの下」とはいえ、中国が独立してサンプリングした資料のデータを「信じろ」と言うのか。つまり、相変わらず中国の胸三寸なのである。