では金持ちになった機関投資家、ファンド、金融機関、個人投資家などはそのお金をどうしたのか、といえば儲かりそうなところに投資をしたのです。その行先はおおむね株式投資です。上場株や投資信託が最も簡単。孫正義氏やGAFAMは非上場のインキュベーション企業を必死に探しました。オープンAI社などはその最たる対象でした。一方、オールドスタイル投資家の第一人者であるウォレン バフェット氏率いるバークシャー社はここ数年、めぼしい投資先が見つからず、手元現金が50兆円に達しています。
これなども簡単に説明できるのです。バフェット氏がいう「魅力ある妥当な株価の企業」がないため、お金を持っていくところがないのです。
一方、多くの先進の投資家やファンド、一部の公的基金の運用者は「しょうがないな、ポートフォリオを見直そうじゃないか」という動きになっているのです。そしてその一つが仮想通貨であります。理由はゆっくりとながらも資産としてのお墨付きが得られてきたからです。投資基盤さえ整えばプロは多少のリスクを冒しても資金を振り向けます。そりゃそうです。ファンドマネージャーはリスクと背中合わせの毎日ですからリスクが読めれば投資環境が整ってきているとも言えるのです。
エルサルバドルは2021年にビットコインを米ドルと並び法定通貨の一つにした国です。現状、その利用者は国民の7-8%程度にすぎません。理由は国民の多くがわからないから、そして両替機が十分普及していないことがあるでしょう。しかし、ビットコインの金額がこれだけ高騰してくると「使ってみよう」という気は起るかもしれません。つまり通貨としての啓蒙期間が必要なのです。それはたぶん2-3世代かかる気の長い話だと思います。
トランプ氏が仮想通貨に入れ込んでいます。私はトランプ氏は富豪である一方、資金の出も大きく、その資産を常に増やさねばならないのだとみています。そこで仮想通貨を社会の中で標準化させ、投資環境を整えることで投資家の余剰資金の受け皿にする、という発想ではないかとみています。