王毅外相や毛報道官の発言に見る様に、ここ最近の北京が異様に「一つの中国」に拘るのには訳がある。一つは、オランダ下院が9月12日、71年10月25日採択の国連総会第2758号決議(アルバニア決議)は「中国が台湾に対する主権を有する」とは言及しておらず、台湾による国連あるいはその他の国際組織への加盟を排除するものではないとする動議を、合計150人の議員のうち147人の賛成という圧倒的多数で可決したのだ。米国政府と英国議会も昨年8月末、台湾を「主権国家」あるいは「独立国」と見做す政策と報告書を公表した。

それに先立つ9月9日に米下院が「台湾紛争抑止法」を全会一致で可決し、米国の台湾防衛が超党派であることを印象付けたこともある。同法には、中国が台湾へ侵攻した場合、中国高官が世界中に保有する不正資産の公開や、本人と家族による米金融システムへのアクセスの遮断や資産凍結などができるようにする制裁措置が盛り込まれている。これは海外に不正蓄財している中国高官には相当効く。

オランダは400百年前、歴史上初めて台湾に外来政権を開いた国である。今般の下院決議のその贖罪の気持ちがあるとすれば、石破政権の非主流派となった麻生自民党最高顧問が8日、東京で開かれた台湾「双十節」式典の挨拶で、「私たちにとって台湾は近い国だ」と述べたことも、日本が日清戦争の勝利から先の大戦で敗戦するまでの50年間、台湾を統治したことへの責任感からではなかろうか。

この記事を配信した『共同通信』は例によって「中国は台湾が不可分な領土の一部との立場で反発を招く可能性がある」とし、麻生氏は「外交関係もない難しい関係」と指摘し、人的交流の重要性を強調したと書く。であるなら、日本も「アルバニア決議」の新解釈をオランダに倣って国会で決議してはどうか。石破政権が親中の汚名を返上する格好の機会だ。但し、選挙に勝てればの話だが。