毛報道官は、「一つの中国」の原則は国際関係の基本規範であり、国際社会で広く受け入れられているコンセンサスであるとし、台湾はかつて国家であったことはなく、決して国家になることはないし、台湾に主権は存在しないと強調した。「台湾独立」に反対し、「二つの中国」や「一つの中国、一つの台湾」を拒否することは、台湾の対外交流や国際活動への参加を扱う上での中国の一貫した立場であるとも述べた。

加えて、中国と外交関係のある国が台湾といかなる形であれ公式交流を行うことに断固反対し、いかなる手段や口実による中国の内政への干渉にも断固反対すると改めて強調した。また台湾を訪問した数人の外国政治家に対し、誤った発言や行動を改め、中国の内政への干渉をやめ、「台湾独立」を容認・支持し、台湾海峡の緊張を高めるのをやめるよう求めた。

毛報道官のこの短い主張の中に、いくつかの矛盾点を指摘できる。「『一つの中国』の原則が国際社会で広く受け入れられている」なら、なぜ台湾と交流する国が後を絶たないのか、敢えて釘を刺すこと自体がそういう国が多いことの証左である。また「台湾はかつて国家であったことはない」というなら、「中国もかつて台湾を支配したことがない」と言わねばならない。

台湾を訪れる外国要人に対する牽制は、それこそが内政干渉である。また日本や米国が承認しているのは「中国が、中国は一つであり、台湾はその一部であると述べている立場」であって、「その中国の考えを尊重する」と言っているに過ぎない。つまり、日本も米国も「台湾が中国の一部だ」と認めている訳ではないのである。よって毛報道官の言い分は北京の独善である。

折しも発足した石破内閣で外務大臣を拝命した、中韓に宥和的と評判のある岩屋毅氏が王毅外相と45分の電話会談をしたと報じられた。『NHK News web』はこれに「岩屋外相 児童死亡事件で王毅外相に“一刻も早く事実解明を”」と見出しを付けた。岩屋氏は加えて、東シナ海で中国が軍事活動を活発化させていることに深刻な懸念を伝え、王外相からは「日本が台湾問題において『1つの中国』の原則を堅持することを望む」と伝えられたとされる。