日本法人の中長期戦略と長谷川社長の想い

BMWの世界共通項にここまではフォーカスしてきましたが、続いて日本における中長期戦略などを長谷川社長に伺ってみると『これまで日本法人の社長は(ドイツ本社の)ヘッドクォーターから赴任し、着任後数年程度で次の社長へと変わるため、その度に方針も変わり日本法人(会社)としての軸が定まらないことにより販売やサービスの現場で混乱が起きることがありました。
現在は、会社の持続的な成長を促すためにできるだけローカルの代表を置くという考え方に切り替わっていて、日本においても2023年1月に私が社長に就任してからは、日本に合うやり方を模索しながら少しずつ施策を打っており、短期では昨年(2023年)から今年(2024年)にかけて、すぐにできることから着手して、中期では来年(2025年)から再来年(2026年)あたりで、それらの施策を慣らし運転レベルまで引き上げ、2027年以降は、さらに施策を高回転レベルまでもっていきたいと考えております。』と話されていました。

続けて『人材戦略を例に、私の考えや短期的に取り組む施策の具体例を交えてご紹介すると、先日、インターン生と直接話す機会があり、その際にインターン生から「経営者になるには何をしていけばいいか?」という質問を受けました。
私自身、経営者になるための教科書はないという考えを持っているため、「自分の持ち味を大事にして磨いてほしい、会社は生き物のため、その時の状況にあったリーダーを据えれば会社は良いので、自分自身を何かの型にはめようとしなくて良い」ということを伝えました。
やはり、自分たちが経験したことや感じたことを大事にして成長していってもらいたいと思っています。
また、これまで弊社は新入社員を入社後すぐに各部門へ配属していましたが、今後は入社後の教育制度を変えて「BMWとは?」や「BMWに属する以上は最低限知っておいてもらいたいこと(コンプライアンス、ブランド、商品、税務や経理等々)」といった座学とその後の各現場での研修を経験した後に部署へ配属するようにしようと考えています。』とのことでした。

さらに『それらの背景として、様々なビジネスの要素がどのような過程を経て現状に至っているのか? など、オフィスに居るだけでは現場の辛さがわからないですし、現場の大変さや苦労を理解してパッションを持たないといけないと思うので、まずは直営の正規販売店でセールスや(アフター)サービスの業務を研修してもらい、その際にできれば一番厳しいと言われている人の下について現場の厳しさを知ってほしいと思います。
例えば、サービスの人たちは危険を伴う仕事のために厳しく指導されるのがあたり前であったり、暑くても寒くても日々、服を汚しながら一生懸命働いていたり、セールスがどれだけ苦労してクルマを売っているのか? やどれだけ精神的な苦労をしているか? などを知ってもらうことが重要だと考えていて、様々な現場を知った人は必ずコミットメントが高いと考えています。』と新入社員をとても大事に考えている長谷川社長の想いが言葉から伝わってきました。

それから、もうひとつの人材戦略のポイントとして『就任した時から推進していて、最近は社内に浸透してきていることのひとつに“いろいろな部門で様々な仕事の経験をする”という考え方があります。
例えば、入社以来マーケティングだけやっていれば、その領域のスペシャリストにはなれるかもしれませんが、将来のプランで経営層を目指したいのであれば様々な領域を経験した方が良いと思いますし、そうであるのならジョブローテーションについて本人とキャリアパスの相談をしながら積極的に会社としてもサポートしていきたいので、会社として社員がチャレンジする背中を押すようなことをしていかなければならないと思います。』と日本法人の中長期的な人材戦略についてもお話しを伺うことができました。

そして、さらに『BMWにとって日本は非常に重要な市場ですので、2024年後半も10月から月に一回ほどの非常にテンポの速いペースで既に新型モデルを2つ(M5と1シリーズ)を発表していて、近日中にもう1モデルも発表予定です。』と期待が膨らむお話しもいただきました。

BMWが日本で推進する取り組みの最前線を追う! 長谷川正敏 代表取締役社長インタビュー【自動車業界の研究】
長谷川 正敏 代表取締役社長(BMW)(画像=『CARSMEET WEB』より 引用)

「FREUDE by BMW」について

東京の麻布台ヒルズにあるブランド・ストア「FREUDE by BMW(フロイデ・バイ・ビーエムダブリュー)」ついて長谷川社長に伺うと『お客さまとの密な接点を作りたい! ブランドを体験してもらいたい! というのが狙いで、特定の層を狙うというよりは、できるだけ多くのお客さまに来ていただいてBMWを知ってもらうことが目的です。
例えば、おすすめの日本料理レストラン「無題」は、おかげ様で数ヶ月先まで予約がいっぱいですし、その他にもカフェなどの様々なエリアがあって、各所でお客さまからいただいたご意見やフィードバックは我々(経営層)にも伝わるようになっています。
ぜひ!ブランド・ストア「FREUDE by BMW」へ気軽に立ち寄っていただきBMWの世界観を感じていただけたら嬉しいです。』とのことでしたので、早速、実際に行ってみました。

BMWが日本で推進する取り組みの最前線を追う! 長谷川正敏 代表取締役社長インタビュー【自動車業界の研究】
FREUDE by BMW(画像=『CARSMEET WEB』より 引用)

「FREUDE by BMW」の1階にはBMWのモデル(当日は世界にひとつだけのBMWアート・カー)が展示され、市販されているBMWモデルの試乗体験も行われていました。
訪問時には、ちょうどドライビング・シミュレーターが設置してあり、来場された多くのお客さまは夢中になって場内は賑わいをみせておりました。

1階にある「CAFÉ & BAR B」の店内は、白基調で明るくエレガントさも備える雰囲気で、各種フードとドリンクを提供していて、来店時におすすめと聞いた“山梨県産のぶどうジュース”を注文しようとしたところ、ワインのように白と赤の2種類があり、白を選んで飲んでみると白ワインのような色、見た目をしていて、すっぱさがほぼ無く甘い独特の深い味わいでおいしくて! 白ワインをワインとせずジュースにするとこういった味になるのか⁉ と思いました。

1階には他にも、国内で唯一ここだけしか販売していない「BMW Studio」というライフスタイルコレクション(アパレル等)の販売も行われていて、BMWのオリジナルウェアなどが販売されています。

BMWが日本で推進する取り組みの最前線を追う! 長谷川正敏 代表取締役社長インタビュー【自動車業界の研究】
BMWオリジナルウェアコーナー(画像=『CARSMEET WEB』より 引用)

今回は「FREUDE by BMW」の2階も見学させてもらうことができ、説明担当のスタッフさんに懇切丁寧に各エリアをご紹介いただきました。
螺旋階段を上るとBMW MOTORRADの車両(BMW R12 nineT)やBMWの日本での歴史を掲示しているパネルなどがあり、限られたBMWオーナーのみが利用できるという「エクスクルーシブ・ラウンジ」は、BMWの世界観を演出しているというアートや高級感のあるインテリアがその名に相応しい設えを持ち、各種交流を深める場としての活用もできるとのことですので、これはオーナーにとって大変嬉しいサービスであると思いました。

BMWが日本で推進する取り組みの最前線を追う! 長谷川正敏 代表取締役社長インタビュー【自動車業界の研究】
エクスクルーシブ・ラウンジ(画像=『CARSMEET WEB』より 引用)

また、2階の「アトリエ」ではオーダーメイド・プログラムの「BMW Individual(インディビジュアル)」のカラーやレザーのサンプルを見たり手にしたりしながらスタッフによるサービスを体感できる特別感のあるエリアとなっています。

さらに、2階には他に、東京のミシュラン三ツ星店や完全紹介制の有名店で研鑽を積んだシェフが絶品料理を提供してくれる日本料理レストラン「無題(完全予約制で8席のみの隠れ家的レストラン、おまかせコースはお一人様が44,000円~で別途サービス料5%)」もあります。

総じて「FREUDE by BMW」はエレガントとカジュアルを兼ね備えた空間を持っていて魅力的ですので、BMWユーザーやファンのみならず気軽に訪れ、その世界観を実際に体感してみることをおすすめします。

BMWが日本で推進する取り組みの最前線を追う! 長谷川正敏 代表取締役社長インタビュー【自動車業界の研究】
アトリエ(画像=『CARSMEET WEB』より 引用)
BMWが日本で推進する取り組みの最前線を追う! 長谷川正敏 代表取締役社長インタビュー【自動車業界の研究】
アトリエのカラーサンプル(画像=『CARSMEET WEB』より 引用)
BMWが日本で推進する取り組みの最前線を追う! 長谷川正敏 代表取締役社長インタビュー【自動車業界の研究】
アトリエの鉛箔(画像=『CARSMEET WEB』より 引用)
BMWが日本で推進する取り組みの最前線を追う! 長谷川正敏 代表取締役社長インタビュー【自動車業界の研究】
FREUDE by BMWをご説明いただいたスタッフさん(画像=『CARSMEET WEB』より 引用)