トランプ氏の「パリ協定」からの再離脱は、COP29にも暗い影を投げかけている。米国のジョン・ケリーの後任として気候特使を務めるジョン・ポデスタ氏は、「トランプ前大統領の返り咲きが決まったが、地球温暖化問題への米国の取り組みが終わることはない。米国は引き続き気候変動との闘いを継続し、温室効果ガスの排出削減に取り組んでいく」と述べたと報じられている。
ポデスタ気候特使の発言に見られるように、気候変動は民主党のアジェンダの中でも優先順位が高いが、一般市民が考える気候変動の重要度は20項目中の17番目(36%)と低いことがPew Research Centerのレポート(以下のチャート)から分かる。
政党間で比較すると、共和党とその支持者のうち84%が経済を強化すべきと回答し、気候変動対策に賛同する回答は12%しかなかった。一方、民主党については59%が気候変動に取り組むべきと回答していた。
トリプル・レッドという結果からも明らかだが、米国国民の選択はポデスタ氏の強気の発言とは真逆であり、説得力を欠くように思える。
さてトランプ氏は、エネルギー業界幹部のクリス・ライト氏をエネルギー省のトップに指名した。11月16日にトランプ氏が「Truth Social」に掲載した声明によれば、ライト氏はエネルギー省長官および新設される国家エネルギー評議会のメンバーとして新政権に加わるということだ。
ライト氏はどういう人物なのか? ライト氏は、リバティ・エナジーの創設者、CEO、取締役会会長で、原子力、太陽熱、地熱、石油・ガスの分野で働いてきたエネルギー業界をリードする技術者、起業家である。米国におけるエネルギー自立を促進し、水圧破砕法を含む化石燃料の採掘を進展させることによって、世界のエネルギー市場と地政学を変革したシェール革命の立ち上げに貢献したパイオニアの一人で、豊富で手頃な価格、信頼できるエネルギー源を求めて仕事をしてきた人物だという。