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頑強な高級モデルとして2代目にして大ブレイクした、パジェロ
オデッセイに代表されるスポーツ&ラグジュアリーミニバン
頑強な高級モデルとして2代目にして大ブレイクした、パジェロ
1950年代に三菱が国産化、それどころか原型は1940年代の連合軍向け軍用小型トラックにまでさかのぼる「ジープ」は、クロカン(クロスカントリー)車としての実力は高かったものの、悪路走破性とタフな耐久性重視で乗用車とはちょっとかけ離れた存在。
それを内外装ともに乗用車仕立てとしたうえで、操縦性を向上させるためフロントサスをダブルウィッシュボーン独立懸架とした初代パジェロ(1982年)は一定の評価を得たものの、改良を重ねたうえで決定版として1991年にモデルチェンジした2代目が大ブレイク!
初代で増えていたエンジンラインナップはついに3リッターV6DOHC(後に3.5リッター追加)ガソリンエンジンを積む高級セダンばりとなり、定評あるディーゼルターボも含め動力性能は盤石。
駆動システムもパートタイム4WDにフルタイム4WDの機構を組み合わせ、強力な悪路走破性から舗装路での快適走行までを実現した「スーパーセレクト4WD」を採用、もちろん内外装は高級乗用車ばりにおごられ、「砂漠からフォーマルまでをこなす万能車」へ。
まだラダーフレーム式の重たい構造、シティユースがメインのため不要な装備も多かったことから、後に乗用車ベースの「形だけクロカン」、ただしユーザーは強烈にそれを望んでいたクロスオーバーSUVが登場すると次第に勢力を失いますが、一時はパジェロの天下でした。
弟分のパジェロジュニア(1995年)、パジェロイオ(1998年)、末っ子のパジェロミニ(1994年)も登場、ワゴンタイプのパジェロスポーツ(日本名チャレンジャー・1996年)といったファミリーの充実した三菱パジェロ王国は、RVブームの象徴だったのです。
実際に大きな役割を果たしたのは1990年代前半の一時期ですが、パジェロがあまりにも熱狂的ブームだったものですから、「RVブーム=SUVブーム」という印象が強まりました。
オデッセイに代表されるスポーツ&ラグジュアリーミニバン
日産 プレーリー(初代1982年)、三菱 シャリオ(同1993年)に先行されつつ、「あまりカッコよくないクルマは作りたくない」という社内事情の不和もあってなかなか実現しなかったホンダのFF乗用車ベースミニバンですが、1990年代になるとそうも言っていれられません。
何しろ他社のような「RV」は型落ちを継続生産していたシビックシャトルのみ、国内外の他社SUVを輸入販売やOEM販売でお茶を濁す程度では焼け石に水で、販売現場が望む「ホンダ版ハイエース(後のステップワゴン)」への繋ぎとなるミニバンを急造しました。
研究開発そのものは細々と継続していたので開発そのものは容易だったものの、製造ラインの改修は最低限で最大の効果を生み出すべく、アコードをベースとしたスポーツ&ラグジュアリー路線の背が低いミニバンとして登場したのが1994年の「オデッセイ」。
同時期に、レガシィツーリングワゴンへ唯一対抗可能なったスポーツワゴンの「アコードワゴン」、やや遅れて登場したFF低床1BOXワゴン「ステップワゴン」。シビックベースの「形だけクロカン」、小型クロスオーバーSUVの「CR-V」などとともに、ホンダは一気にRV王国へと躍進。
「RVで儲けた金でF1をやるメーカー」とまで言われましたが、一時はRVで絶好調の三菱に合併説まであった時期からすれば、見事な大逆転でした。