ベトナムサッカーの未来に絶対に必要となるものを、彼は今まさに身につけようとしていますので、どこまで成長していくのか楽しみです。他人を見る目、周囲の空気を感じ取る力、学び取る力というのを持っていますし、末恐ろしいですよ。彼のような新しい世代の指導者が国内で力を持つようにならないと、ベトナムサッカーは変わっていかないと思います。
「選手を“探す”よりも“育てる”ということ」
ー開幕前のキックオフイベントでは、アカデミーのお披露目もありました。就任会見での足達CEOの発言や先程のお話でもそうですが、今後は特に育成に力を入れるという意思を感じます。新たに発足したアカデミーの理念やビジョンをお聞きかせください。
足達:やはり選手を“探す”よりも“育てる”ということ。国内アカデミーやVリーグクラブの下部組織においてU-12年代で純粋に育成されている選手数というのは非常に限定的です。例えば、今後U-17代表を選ぶにあたっても、その限られた母数の中からしか選べないという現状があります。タレントは全国にいて、どこかにかたまっているわけではないと思うんです。
ビンフオック省にもタレントはいるはず。でも、それを見過ごしていて、機会が与えられていない。タレントがサッカーを目指すような取り組みができていない。だから、ビンフオック省にはタレントが少ないという現状になっています。これはかつての日本も同じだったかもしれませんが、タレントは場所を選んで生まれてくるわけではありません。ベトナムには1部・2部合わせて25のプロクラブがありますが、それぞれが地域で育成の取り組みをすれば、確実に母数は変わってきます。そのロールモデルになるというのが、我々がアカデミーを作る上での一番の理念。このことがベトナムサッカーの分岐点になって欲しいと思います。