足達:指導者のクオリティが上がらない限り、ベトナムサッカーは現在の域から抜けられないと思います。指導者のクオリティというのは、グラウンドで指導するのにとどまるものではなく、例えば母数が足りないなら、増やすための組織作りをするというのも育成年代の指導者の仕事になります。サッカーに理解のある指導者が増えていく、あるいはそういった指導者養成を行っていかないと、越僑選手や帰化選手を探すという方向に向かってしまうと思います。
育成というのは草の根から始まりますので、コミュニティサッカーがVリーグクラブの傘下に入って良い影響を受けたり、カリキュラムを共有したりして、選手を育てていくとか、育成と普及で大きな変革がない限り、ベトナムから世界で活躍する選手が出てくることはないでしょう。そういう意味で、我々のクラブが一つのロールモデルにならなければならないと強く感じています。
ー経営面について伺います。多くのベトナムクラブは力がある一部のオーナー企業に依存している状態ですが、ビンフオックの現状はいかがでしょう?
足達:ソン会長が省から譲り受けて、設立間もないクラブということで、現状では他のVリーグと同じような状況です。ただ、私が考えるクラブ作りはそういうものではないので、こちらも改革には着手しています。町田運営部長が赴任したことで、既にセールスシートを作成してスポンサー集めに動き出しているところです。我々クラブにとっては、選手やサッカーの試合が商品に当たるため、今季はチケットも販売しましたし、ユニフォームの販売も始めました。移籍金に関しては10年後になってしまうかと思いますが、スポンサー収入とチケット販売、マーチャンダイジング、移籍金という収入の4つの柱を少しずつ拡大させているところです。
ー例えば、サイゴンFCでは日本化を契機に日系スポンサーが急増しました。ビンフオックは育成面では、地域密着という話でしたが、スポンサー集めも地域にこだわっていくのでしょうか?