そこで育った選手がアカデミーに入り、将来的にトップチームを目指すという道筋を作りたい。地域の人々にとっては、日頃自分たちが見て知っている子供たちが、5~10年後にトップチームで活躍する姿を見られるわけですから応援にも力が入ってきます。今のベトナムにはない、ホームグロウン選手という認識がここから見えてくると思っています。

子供の成長というのは、やはり親と一緒に進むというのが自然な姿だと思います。U-12の選手たちは平日クラブから学校に通っていますが、週末は親元に帰るという形にして、親との接点をしっかり持ちながら育成するようにしています。こうしたアカデミー運営がビンフォックFCの特徴で、地域に根差したクラブであると地域の皆さまに感じていただけていると思います。

グエン・コン・フオン(左)足達勇輔氏(右)写真:Truong Tuoi Binh Phuoc FC

日本でプレーしてきたコン・フオン

ートップチームの強化面について伺います。ビンフオックは今季移籍市場で、現役ベトナム代表や元代表クラスを多数獲得し、特に横浜FCから加入したグエン・コン・フオンの電撃移籍は大きな話題になりました。コン・フオン獲得の狙いは何でしょう?また新戦力たちにはどんな期待を寄せていますか?

足達:まず多数の選手を獲得した理由の1つとして、昨季クラブを譲り受けた際にレンタルで選手を獲得していたことがあります。半数以上がレンタルした選手でした。そういった選手を育てても翌年にはいなくなってしまいます。今季はレンタルの選手は1人だけ。成長した選手のレンタルを延長したいと打診しても、断られてしまいました。育てても結局、他チームの強化を手伝っていることになり、自チームの安定には繋がらない。CEO就任時から、今季はとにかくレンタル比率を減らすんだと決意し、お金がかかるかもしれないけど、自分たちの選手を獲得して、昇格後を見据えた2~3年安定したチーム力を担保できる移籍になるよう心がけました。