そして、アカデミーダイレクターには山本義弘が就任しました。アカデミーは教育的視点が大事になるということで、日本の部活動で長く指導歴があり、サッカーの指導と指導者育成にも携わってきた人物として彼に白羽の矢が立ちました。さらに運営部長として、日本の地域リーグやJ3などでJ2を目指すクラブを運営した経験があり、社長業もこなしたことがある前AC長野パルセイロ社長の町田善行を迎えました。
日本化失敗例との違い
ー日本人スタッフ急増は、霜田正浩TD(のちに監督)や松井大輔、高崎寛之を補強して話題になった数年前のサイゴンFCを彷彿とさせます。サイゴンは日本化を境にクラブが低迷し結果的に解散したとして、国内では失敗例と見なされています。そのため、日本化というクラブの方針転換を不安視する声もあるかと思うのですが、ファンやメディアからの信頼獲得、また新規ファン獲得のために、どのような施策を取っていますか?
足達:もちろんサイゴンFCのことは存じておりますが、我々が目指すのは、トップチーム作りではなく、ソン会長の強い意志でベトナムのサッカーの景色を変えるためのモデルとなる日本式育成型クラブ作り。実際にやろうとしていることは、だいぶ異なります。アカデミーについては、クラブがACLを目指す上で必要不可欠のもの。クラブライセンスの発行だけでなく、普及活動を含む地域との結び付きや、アカデミー、サテライト、トップチームへと繋がるクラブの組織作りを目指すという点が、サイゴンFCと異なる点です。
ビンフオックFCでは今年、U-12チームを立ち上げました。セレクションで選んだ選手は、ほぼ全てが地元の選手たちです。ベトナムのアカデミーでは全国から選手を集めるという傾向が強く、皆で良い選手を取り合っている状況。我々は探すよりも育てることに主眼を置いています。ビンフオック省には11の区がありますが、これから各区に支部を作っての普及活動を計画しています。