足達:直接お話をいただいたのはソン会長からなのですが、アイン・ドゥック監督が私のことをよく知ってくれていたのも大きかったと思います。日本式クラブを目指すなら、ベトナムサッカーを熟知している元VFF技術委員長の足達さんが適任だと進言してくれたと聞いています。
ー外国人がテクニカルダイレクター(TD)や顧問に就任するのはベトナムでも珍しくないですが、CEOは初です。CEOとしての具体的な業務はどんなものがありますか?
足達:ベトナムにはベトナムの文化があります。日本とも違うし、欧米とも違います。ですので、他国のやり方をそのままコピーして持ってくることはできません。そういう意味でも外国人CEOが難しい役割であるのも確かです。私1人でCEOの役割をこなしているというより、今までいらっしゃった方々と協力して進めているという形。
ただ、意思決定の道筋であるとか、物事を発想していく提案の方法だとかを日本式に倣った合議制で進めていくこと、クラブ全体で皆が把握しながら事業を進めていくことなど、従来のベトナムのクラブや企業と違った意思決定の仕組みを作っていくよう心がけています。これにより、クラブ運営が強くなり、長く続けられるようになります。誰かが抜けて頓挫することがなくなり、皆で補いながら少人数でも強いクラブを作っていく。そういう組織作りという点では、日本人がやっていることの意味があるんじゃないかなと思っています。
ービンフオックは今季、日本人スタッフが急増しました。現在いる日本人スタッフの構成とクラブ内での役割を教えてください。
足達:現在は私を含めて6人の日本人がいます。まずトップチームのコーチに小原一典(元カンボジアサッカー連盟技術委員長、元ブータン代表監督)が就任しました。その後、Jクラブで長く監督を務めた、実力ある指導者である上野展裕(ツエーゲン金沢、レノファ山口、ヴァンフォーレ甲府、鹿児島ユナイテッドなどの監督を歴任)がコーチ陣に加わりました。それから、日本代表チームでトレーナーをされていた並木磨去光さんの紹介で、メディカルスタッフに松木仁志が入って、以上がトップチームに係わる3人です。